Friday, January 25, 2008

外国人登録法

<外国人登録法>在留管理制度を撤廃、カード台帳に再編
(毎日新聞 - 01月25日 02:43)
 総務、法務両省は、外国人登録法に基づく在留管理制度を撤廃し、日本人の住民基本台帳と同様の台帳制度に再編することを決めた。指紋押なつ制度の存廃で揺れた同法による登録は終わり、在日韓国・朝鮮人など特別永住者については外国人登録証明書はなくすものの、新たな証明を発行するか否かが検討されている。両省は3月末までに新制度の骨子案をまとめ、来年の通常国会に関係法案を提出する。

 両省によると、各自治体が発行し外国人が常時携帯を義務付けられている登録証明書を廃止し、入国管理局が中長期の外国人滞在者らに対し、名前や住所、顔写真が入った「在留カード」を発行する。新規入国者には空港で、在留者には地方入管で手渡す。カードを各自治体に示し、新たな台帳に登録する。

 現行の外国人登録制度では、外国人が個人単位で管理され、世帯単位での把握は難しかった。また、転出届が義務化されていないため、国内外に転居した場合に確認できなかった。このため、日系人の子どもの不就学問題などで、関係自治体から「居住実態の把握が困難で、学齢期の子どもに就学を通知しにくい」との声が上がり、政府は来年の通常国会に見直し法案を提出することを閣議決定していた。

 台帳制度では、日本人と同じく世帯単位で把握し、転出届のほか、出生・死亡・婚姻などの各種届けを反映させる方向で検討されている。国民健康保険や介護保険、児童手当などの漏れを防ぐこともできるという。

 台帳は、現段階では日本人と別の外国人専用の台帳となる可能性が高い。在日韓国・朝鮮人など特別永住者は、台帳制度に加えるものの、在留カードの対象外とされている。このため、新たな別のカードや証明書が必要か検討されている。【外国人就労問題取材班】

 ▽外国人登録制度 1952年施行の外国人登録法で規定。80年代から、登録時の指紋押なつに人権侵害との批判が強まった。91年海部俊樹首相(当時)が訪韓時に押なつ廃止で合意。93年から一般の永住者と特別永住者の押なつが廃止された。00年からすべての外国人の押なつが廃止され、本人確認は署名と家族事項の登録になった。一方、改正入管法で昨年11月から来日外国人の指紋を採取する制度が始まった。

 ◇行政サービス受けやすい「住民」に

 現行の外国人登録制度から、新たな台帳制度になることの一番の意義は、日本に住む外国人が管理されるだけの存在から、行政サービスを受けやすい「住民」として認められた点だ。

 現行制度でも、在留外国人が市町村に提出する外国人登録原票のの中に、家族構成などが含まれる。しかし、それはあくまで個々人の在留状況の把握が目的で、住民サービスは目的外。原票が家族バラバラで管理されるケースも多かった。

 さらに、日本人の住民基本台帳のように国民健康保険や介護保険、国民年金の被保険者かどうかの記載はない。被保険者かの確認作業で、「原票の情報をうまく活用する自治体と、そうでない自治体で差があった」(自治体職員)のが実情だ。台帳制度になれば、その差もある程度なくなるだろう。

 現行で義務付けている転入届も、所在地を管理する目的だけで、移動の多い日系人労働者らに浸透せず、効果が薄かった。台帳制度で転出届も義務付けられれば、それは自身が住民サービスを受けるためで、意味合いが大きく違ってくる。

 在留外国人の数は日系人の受け入れを始めた90年以降急増し、06年末で約208万人(総人口の約1・6%)。10年前より約67万人も増えた。自動車製造など外国人労働者が支える国内産業も少なくない。教育、社会保障の面でも住民として、また労働者として、さらなるサービス向上の要望が高まっていくだろう。【桐野耕一】

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